ケダモノの嵐
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眠いような気もするけれど、目が覚めてしまったからしょうがない、午前5時、梅雨、東京。



オリガト・プラスティコ第4回公演、『しとやかな獣』。
突然なんだと感じる向きもあるでしょうが、冬のまっただ中に観に行ったお芝居です。
息子と娘をツートップに、あの手この手で金をだまし取り、なんとなく裕福暮らしをする一家と、その一家を軽く上回る強かさで旅館の女将になっちゃう“しとやかな獣”のお話。これぞブラック・コメディとも言うべき、本当に欲の塊な悪い人しか出てこない怖くて面白いお話。もともとは川島雄三作品(傑作!)。

いまや人妻となってしまった緒川たまきさんがしとやかな獣。今やその夫となってしまったケラさんが演出。そりゃあ、お二人の大ファンの自分にとっては至福の黒いひと時でした。お二人が作ってきた舞台、『犬は鎖につなぐべからず』、『どん底』、『しとやかな獣』、この三本ののち結婚、羨ましい。緒川たまきの夫、ケラさんの妻、もの造りを通して育んだ(かどうかは知らんけど、きっとそうだろうと思う)愛、すべてが自分の理想だ。

ま、それはそれとして。

舞台、ケラ版『しとやかな獣』は、自分が生まれるより10年とちょっとぐらい前の昭和の空気感が丹念に作りこまれていて、まずそこで思い切り浸れる、懐かしい、と。自分が生まれていない頃のことを懐かしむというのも変な話ですが。でもそういうことってよくありますよね。あれってなんでだろう?
役者もみなさん素晴らしく、個人的には、一度取材でご一緒したことのある近藤公園さんが、下北の古着屋で見せた素朴な佇まいからは想像もつかない横領息子っぷりで、役者って凄いなぁって、役を離れたご本人にお会いしたことあるだけに、いつも以上に衝撃と感動を感じたわけです。きっとすべての役者さんとお会いするとそう感じるのだと思う。
あと、すほうれいこさんをたぶん初めて観たのですが、友人にもの凄く似ていてびっくり。それは、良い意味で詐欺愛人娘っぷりも含めて似ていたので本当にびっくり(そんなもん良い意味でなんてないだろう!と怒られるので本人には言ってませんが。というか、その友人は愛人でもなんでもなくて、某映像・音楽ソフトメーカーのプローモション部門で真面目に働いております、たぶん)。
そして、緒川たまきさん。あの品の良さが堪らない。上品で性悪、最高だ。(←手玉にとられる率100%な私)

徹底的にクズな悪い人だらけですが、絶対に誰かしらまたはほとんど全員に感情移入できる、ある面では人間の真理をばっちり描いたお話なので、これ観て「誰の気持ちもわかんないー」とか「きゃあコワい、でもこんな人いないよー」なんて言う人がいたら自分は近寄りたくありませんね。気色悪いわ。それに、たぶんその人は“しとやかな獣”だと思うので。



というわけで、見逃してしまった人は、川島雄三作品でお楽しみを、そして自分がちゃんと欲深いかどうかの確認を。
もの凄く面白い映画です。



『ケダモノの嵐』 / ユニコーン
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by clyde_8 | 2009-06-19 05:39 | 映画/お芝居
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