暗闇のスキャナー
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それぞれの手法はまったく違うけれど、『トゥモロー・ワールド』と並んで素晴しい映画体験をもたらしてくれた、『スキャナー・ダークリー』
僕にとってこの2本は、監督のファンであり、その監督がバリエーション豊かな作品スタイルを持つという意味で、なんだか似ている(実際はだいぶ似てない)。



いや、そもそも原作者が180度違う。。。

『トゥモロー・ワールド』の作者P.D.ジェイムズはバリバリのミステリ作家。
一方、『スキャナー・ダークリー』はフィリップ・K. ディック原作。
ディックつったらもう、どろどろふわふわへろへろぐわんぐわんの超SF作家。

僕にとってのフィリップ・K. ディックはもちろん『ブレードランナー』や『トータル・リコール』ではあるんですが、そういう映画の原作者として興味を持って手にした長編『虚空の眼』がとにかく衝撃で、SFとはこういう作品のことを言うのか!すごいなぁ!!こんなのばかり読んでたら人生変わるかもなぁ!!!
本当に口をあんぐりと開けて唖然としながらも、大笑いしながら読み耽った記憶があります。

そんなフィリップ・K. ディック作品は難解(というか不可解)なものも多いのに、映画化されることも非常に多い。
映画原作者としてはスティーブン・キング並みに人気があるような気がします。

そして、ディック作品の中でもかなりの人気を誇る(らしい)『暗闇のスキャナー』。
実体験をもとにして書かれた麻薬中毒者へのレクイエム(らしい)です。
いつか、読んでみようと思います(あぁそうだよ、偉そうに言ってるけど未読だよ)。



さて、映画『スキャナー・ダークリー』。



近未来、“物質D”というドラッグの蔓延が社会問題化したカリフォルニア。
麻薬捜査官のフレッドはおとり捜査のためにボブ・アークターとしてドラッグ常用者たちと共同生活を営んでいた。
そんな中、ある日、上司から麻薬密売人アークターの監視を命じられてしまう……



僕にとってはやたらと豪華なキャスト陣、しかもそのキャスト陣をロトスコープでほぼ完全アニメーション化するという、何とも贅沢な映像手法。

単純に口がぱくぱく動く従来のアニメと違って、実際の役者の演技をトレースして着色しているから、台詞と口の動きが完全に一致!それだけでかなり感動。
アニメの口パク感が好きじゃない僕にとっては、なんだかとても大きなことのように思えました。

で、アニメーターが描いた絵をもとに、なんたらというソフトウェア(名前憶えてない)が膨大なコマ数を補完する、その所為かどうかは知らないけれど、モーションに不思議なニュアンスが加わり、めちゃくちゃカッコいい色彩感覚と相まって絶妙な世界感をつくりだしています。
(なんか今回“知らない”とか“憶えてない”とか半端なことばっかり書いてるなぁ。。。)

この不思議な心地良さや、なぜだか楽しめる不快感は、実際に体験してみるとわかると思います。



新しい映像世界で綴られる物語は複雑に絡み合うとか、そういう類のものではないけれど、重く難しいテーマだし、ある意味ではすべてを理解するのは無理かもしれません。

でもそれは考える価値のある物語だと思うのです。

この物語は、フィリップ・K. ディックのまわりにいた数多くの麻薬中毒者に捧げられています。
その主役を、友をドラッグで亡くしたキアヌ・リーブスが演じる。
そんなことを思って、世界中が愛した一人の役者を思い出しました。
僕が初めて男性に恋したのは彼でした。

そう、その役者の名前はリバー・フェニックス。



『A Scanner Darkly』 / Primal Scream
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by clyde_8 | 2006-12-27 11:31 | 映画/お芝居
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