トーチソング
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僕は昔から同性愛を描いた物語がとても好きです。
“ゲイ映画には名作が多い”なんて言われてたりもしますが、本当にその通りだと思うし、ゲイ文学やお芝居の世界にも名作は多いです。

同性愛者が紡ぐストーリーの刹那や享楽、生々しさや切なさ、そういう点にものすごく惹かれるし、もちろん、同性愛者たちのきらびやかでありながら繊細な美意識や、したたかで爽やかですらあるユーモアやウィットも大好きです。



そして、最大の魅力は愛に溢れた明るさ、温かさ。

きっと、いろいろなモノと闘わなくちゃいけない立場だから、だからこそ自分たちの人生、自分たちの“今日”を思い切り楽しもう、そういうメンタリティが同性愛者特有のポジティブさを生み出し、魅力となっているように思います。

“愛に生きる”なんて言葉がありますが、同性愛者たちの“愛で生きる”姿を見ていると、“愛に生きる”という言葉がなんだか限定的で、ちょっと寂しいものに感じちゃいます。



僕も“愛で生きる”ことができていたらいいのだけれど(うん、きっとできてるよ)、なんてことを思ったりして。



そんな、“愛で生きる”人生とその苦悩を描いた名作で、とても楽しみにしていた『トーチソング・トリロジー』を観てきました。

なんで観る前から“名作”なんてふうに言ってるかというと、映画版『トーチソング・トリロジー』の大ファンなんです僕。
1988年の映画だから、僕が映画の魅力にいよいよとりつかれだした頃で、“人間”や“愛”の物語の魅力を教えてくれた映画のひとつです。

もともとは、オフ・ブロードウェイで上演された3本の1幕劇。

それをひとつの舞台にまとめたものが、不朽の名作、日本の演劇界でも初演の素晴らしさが“伝説”となっている『トーチソング・トリロジー』。

その舞台を映画化して、作者のハーヴェイ・ファイアステイン自ら主演したものが、10代の僕にひとつの大切な価値観を教えてくれた1988年作の映画『トーチソング・トリロジー』というわけです。



そして今回、パルコ劇場「新」スタンダードシリーズの第4弾として上演された『トーチソング・トリロジー』でようやく舞台版を観ることができました。



感動しました。

勇気をもらいました。

愛が漲りました。

『トーチソング・トリロジー』はいつ観てもそんなことを思うんです。

だから“不朽の名作”と言われるんですね。

久しぶりにすすり泣きの聞こえる劇場でした。

うまく魅力を伝える自信が無くて、ろくな感想になってないですけど、映画版でも舞台版でもいいからとにかく観てみてください。

ぜったいいいです。



あ、そうだ、アーノルド役について。

今回は篠井英介さん。
これがもう最高の配役でした。

ま、初演も再演も観たことないので、比べたわけじゃないけれど、篠井英介さんが女形として培ってきた身のこなしで、強く優しく、ときにコミカルにときに弱々しく、それはもう見事にアーノルドを表現していました。



「あたしが人からもらう必要があるのは、愛と尊敬だけ。そのふたつをあたしにくれない人は、あたしの人生から出て行ってもらう」

“愛で生きる”アーノルドの叫びは悲痛なものだけれど、なんとなくわかる気がするんだよなぁ。



『トーチソング』 / Emi Eleonola
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by clyde_8 | 2006-12-07 12:47 | 映画/お芝居
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