Reincarnation
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『ナポレオン・ダイナマイト』に首ったけの僕としては(って、大して関係ないけど)、ジョナサン·グレイザーつったらやっぱ、ジャミの『ヴァーチャル·インサニティ』のPVがまっ先に思い浮かびます。
あのPVや作品集DIRECTORS LABELシリーズの印象が強いせいか、ジョナサン·グレイザーはエッジーなヴィジュアル·アーティスト、というふうに感じている人も多いんじゃないでしょうか。
ま、実際そうなんですけども。

けれど、こういう映像作家が本気で映画を撮ると、とてもクラシカルで美しい作品ができあがることがあります。

そう、ある意味では素晴しく“真っ当な”映画、スパイク·ジョーンズの『マルコヴィッチの穴』やミシェル·ゴンドリーの『エターナル·サンシャイン』のように。

ジョナサン·グレイザーの『記憶の棘』も切ない雰囲気が絶品の美しい映画でした。



なんか、“愛のミステリー”だとか“輪廻転生”がテーマだとか言われているようですが、そうじゃないような気がします。

確かに“輪廻転生”がモチーフとして描かれてはいるし、終盤のある程度観客のイマジネーションに委ねる部分を残した語り口は“ミステリアス”ではあります。
けれど、やっぱりこの映画のテーマはシンプルに“愛”のような気がします。

『記憶の棘』について、いろんなところで“輪廻”にまつわる“ ミステリー”として語られている点については、まあいろんな解釈をしようと思えばできないことはないです。
でもね、“輪廻”については映画の冒頭で他の解釈のしようがないかたちで、はっきりと示されてると思いますよ、素直に観れば。

アナの夫、ショーンがセントラル·パークでジョギングをするオープニング、トンネルに差し掛かったところで突然苦しみだし、息を引きとるショーン。
次の瞬間、スクリーンが映し出すのはひとりの男の子の誕生。
それから10年後、アナのもとに10歳の少年ショーンが訪れる。
彼は言う、自分はショーンの生まれ変わりなんだと。

ね、別に謎でもなんでもない。

だいたいね、『Birth』なんだからさ原題が。



ショーンの愛とアナの愛、もう一度生まれたショーンの愛、そこに生じた小さな歪みや悲しい嘘、そんなようなものを静かに見つめる映画、それが『記憶の棘』です。

映像はとても繊細で、優しく胸をつかまれるようなクローズアップや透明感のある冬のニューヨーク、そしてそこに美しく幻想的なサウンド·トラックがしっとりと融けあう。

潔く短髪にしてなおエレガントなニコール·キッドマンも見所のひとつです。



観終わってからなんとなく考える。
もし愛する人が死んでしまって、それで生まれかわってまた愛を伝えに来てくれたとしたら、やっぱり嬉しいだろうなぁ。
たぶん滅茶苦茶揺れるけど、また一緒に生きていくことを選ぶだろうなぁ。

自分が死んでしまって生まれかわるほうだったとしたら、うーん、きっと愛する人のもとに行くだろうなぁ。
キュートな子供に生まれかわってなかったら諦めるかもしれないけれど。。。(←あぁ、こんなところで外見重視の哀しさが。。。)



ところで、『記憶の棘』っていう邦題、これはすごくいいですよね。
正直なところ、意味するところはよくわからないんですけども、言葉の響きがいいんだよなぁ、うん。



『Reincarnation』 / THE STAR CLUB
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by clyde_8 | 2006-11-08 23:27 | 映画/お芝居
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