Personality Crisis
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危ない暑さでしたね、今日は。
スーツを着てるとくらっくらするんじゃないでしょうか。
僕はスーツあまり着ないのでわかりませんけども。

ウチのオフィスは職種によって服装の規定が微妙に違うんですよ。
僕がいるフロアで一応禁止されてるのは、Tシャツ、ジーンズ、スニーカー、リゾート色の強い服装ということになってます。
あってないような規則です。



僕は学生の頃けっこう派手好きだったので、困ったことに、ものすごいオトナになった今でも、やや派手好きの名残があります。
もうこれはしょうがないんです。
柄が好きなんですよ、柄もんが。
花柄とか、水玉とか、髑髏が踊ってるのとか、龍が昇ってるのとか着てると落ち着くんです。いや違う、テンションが上がるんです。

アロハなんていいですね。
あれはいい。
ただ、アロハシャツっていうのは、着るとほんの少し社会人の枠をはみ出してる感じになっちゃうのが残念です(アロハ着て、“仕事してるねぇ!”って雰囲気だすためには焼きそば焼いたり射的の的並べたりしないとダメでしょう)。



先日、ある程度配慮して地味目のアロハを着てたんですけど(まあ、そもそもアロハの時点で、地味目とかって、おかしな話だ)、やっぱりダメですね。
やれ「関西人らしい」だの、やれ「チンピラ顔が引き立つ」だの、挙げ句の果てには「花火柄ですね〜」って、どう受け答えしていいか解らないことを言われました(「そうですね〜」と答えた。←これって正解?)。
俗に言う“イジられる”ってやつです。
ま、まったく相手にされないよりはマシですけど。

でもね、はっきり言いますけど、そんなにチンピラな感じじゃなかったですよ、上品に着こなしてて(あぁ、目撃者がつっこむ声が聞こえる。。。)。
あえて言うなら、バッキーさんみたいでした(ってまったく上品じゃないね)。

知ってますか?バッキーさん。
『ラヂオの時間』でのモロ師岡さん扮する放送作家です。
アロハ着て寒い業界用語連発するあの人。
寒いけど、プロデューサーの無理なオーダーに応えて、短時間で台本書き直すバッキーさんはちょっとカッコいい。
バッキーさんにとって、アロハシャツはもの作りをする時の戦闘服なのかもしれません。



ずいぶん前にも書きましたが、三谷作品では“作り手の苦悩”が描かれることがよくあって、僕は職業柄、そういう点でいろいろと思うところもあるわけです。
バッキーさんが登場する『ラヂオの時間』で描かれるのは、“自分が作った作品への責任”について。

鈴木京香扮する素人作家の鈴木みやこは、自分が書いた台本が、スタッフの手で都合良く作り変えられていくのに堪えかねて、こんなことを言います。

「ホンの通りにやってくれないなら、
 最後に私の名前を読むのは止めてください」


それに対して、布施明扮する編成の堀ノ内さんは、しめたとばかりにこう返す。

「わかりました、それで手を打ちましょう」

そんな軽いノリの堀ノ内さんを横目に、西村雅彦扮するプロデューサーの牛島さんはこう言います。

「奥さん、それは違う。
 あなた、我々がいつも番組の最後に名前を読み上げられるのを、
 満足して聞いてるとお思いですか?
 私だって、名前を読んでほしくない時はある。
 これは私が作りたかったものじゃない、と。
 でもそんなことはしない。
 なぜなら私たちには番組を最後まで見届ける責任があるからです」


牛島さんは、いくら気に入らないものでも作ったからには、その作品から逃げてはいけないんだと、そう考えているわけです。
続けてこう付け加えます。

「そして思うのです、
 いつかきっと、みんなが満足するものを作ってみせる、と」


バッキーさんを引っ張りだしてきて、散々台本を書き換えた牛島さん。
最後にはこう言い放ちます。

「悪いが名前は読み上げますよ。
 なぜならば、これはあなたの作品だからだ。まぎれもない」


※台詞は全てうろ覚え。ニュアンスです、ニュアンス。



これはね、なかなか難しい問題ですよ。
このシーン観る度に、自分の身に置き換えて考えてみるんですけどね、いつも微妙に考え方が違っちゃうんですよ。鈴木みやこの気持ちが解る時もあれば、牛島さんに大賛成の時もある。しまいには、堀ノ内さん的な気分の時もある。
過去のお仕事にしても、クレジット表記を辞退したこともあれば、名前をしっかり載せてもらったこともありますしね。どっちでもいいから、さっさとやっちゃおうってこともあった。

簡単に言うと、どれだけの圧力に屈したか、どんなに理不尽な要望を聞き入れたか、自分の力不足がどれほどのものだったか、それによって変わってくると思うんです。
それと、自分自身の自信とか誇りとかね、そういうものたちをどうするかっていうことですね。



そして今、このお仕事でも、そういうことで頭を悩ましています。

詳しい説明は省きますが、かなり注目度の高いものなので、業界紙を中心として、いろんなメディアに露出させて、制作スタッフとして名前を売ろうじゃないかという話が制作途中で出てたんです(名前を売るだなんて下品に聞こえるかもしれないけど、まあ、そういうことです)。

けれど、いろいろとあって、納得のいかない部分が多々でてきた、そして最後の最後で決定的に許せない事態になってしまった。
そこで、マイボスは名前を出さないことに決めた、と言うのです。

一方で、僕に対しては好きにしていい、というふうにも言ってました。
業界紙に載せて、名前を出したかったら、やってもいいよ、と。

僕は、即答できませんでした。

困ったことに、即答できませんでした。

格好良くいうと、自らの矜持と功名心のせめぎ合いです。
簡単に言うと、鈴木みやこか牛島さんかです(ん?ちょっと違うなぁ。牛島さんには功名心という言葉はしっくりこない)。



いまだ、答えは出ません。
答えは絶対に出なくて、これからもその都度その都度で悩んでいくものだとも思うのです。



そんなことを考えていたら、日も落ちて、少し涼しい時間になりました。



『Personality Crisis』 / New York Dolls
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by clyde_8 | 2006-08-07 20:10 | お仕事
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