スタンド・バイ・ミー
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中田英寿のこと。



7月3日、引退発表の当日、僕はお仕事で新潟にいました。
ロケハン初日が無事終わりホテルの部屋にいました。
本読んでました。

H∧Lからのメール、ヒデについては関係ないので前略〜英びっくりだね”

ほんの一瞬何のこと?って思ったけど、すぐわかった、ああ、辞めたんだな、きっと。

なんででしょうね、なんとなく理解できる気がしたんです。H∧Lがヒデのニュースで驚くなんて、引退ぐらいしかないだろうなっていうのもあったしね。

テレビをつけて確認。



きっと僕以上にニュースなんて見ないと思うcamoにメール。

“ひでが引退しちゃった。”

“代表を?”

“いいや、サッカー選手を。”



“そっか。好きなサッカー選手いなくなっちゃったな。”



ヒデがペルージャでデビューした日のこと。

創作の壁にぶち当たってた僕は、どうしようもない焦りを感じていました、半ば投げ出す気持ちとともに。
けれど、深夜に観たあの2ゴールに背中を押されて、自分でも驚くほど吹っ切れて、素晴しい作品をつくることができました。

当時の僕は大学1年で、入学当初の、美術大学のカリキュラムに対してとにかくがむしゃらにやることで、なんとかついていってた時期を乗り越え、数ヶ月経ちいつの間にかほんの少しだけ、自分の創作や創造力に自信が持てるようになっていました。
とはいえ、その頃自分がやろうとしていたことは自分の能力の限界を軽く超えてるような気がして怖くなってたんです。だから手を動かすことができずに、そのせいで焦る気持ちがどんどん大きくなっていたんです。

そんな僕の竦んだ足がまた走り出すために、充分過ぎる勇気をくれたのが、ヒデがデビュー戦でユベントスから奪ってみせたあの2ゴールでした。

そういうことって、きっと誰にでも起こることだと思います。
魔法みたいに不思議なんだけど、自分を現実に引き戻してくれる強烈な輝き。



本当に大好きなサッカー選手でした。



プロへの船出の時の言葉。

「あそこもいい、ここもいい、まあ、スカウトの人達は口がうまいですから」

ヒデが高校卒業後のチームを決める前に言っていたこの言葉(もちろんうろ覚え)、Syuやcamoとの間では、いまだに何かを迷った時、どれにするか迷った時に、この言葉を真似て笑いあっています。
そうすることで、自分たちが何か間違ったことから遠く離れていられるような気がするから。

というのはこじつけかもしれない。

でもとにかく、僕ら3人がある意味では、中田英寿への想いという点で繋がっていたのは確かなことです。



旅の終わり、新しい旅へ。

“安心して旅立つことができる”と言ってくれたヒデ。

それはよかった、本当に。

お疲れさまでした、ヒデ。
とても寂しいけれど、でも大丈夫。いつか戻ってきてくれるまでは、その“サッカーへの思い”が僕らとともにいてくれるから。
ありがとね、ヒデ。



あ、帰りは遅くなるんだよね?

気をつけて、いってらっしゃい。



No, I won't be afraid
No, I won't be afraid
Just as long as you stand
Stand by me

So darlin', darlin' stand by me
Oh, stand by me
Oh, stand, stand be me
Stand by me


―――『Stand By Me』 / Ben E. King




『Stand By Me』 / Ben E. King
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by clyde_8 | 2006-07-06 13:36 | FC東京/サッカー/フットサル
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