Guilty Partner
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『ファニーゲーム』と『ピアニスト』で心酔したミヒャエル・ハネケ監督。
特集上映で過去の作品をやっと観ることができて、新作も楽しみにしてたんですが、気付けば東京では上映終了間近。
(そういえば、ハネケ作品に友人を軽々しく誘って申し訳なく思ったこともありました。やはり人には好みというのがあるわけで。。。)

カンヌで監督賞獲ったぐらいだから上映期間長いだろうなんて根拠のない余裕を持ってたけど、もうすでに2ヶ月近く上映されてるらしく、こりゃいかんと『隠された記憶』を急いで観てきました。



テレビ局の人気キャスター、ジョルジュ。
ある日、差出人不明のビデオテープが届く。
そのビデオは自分たちが暮らすアパートがただ撮られているだけのもの。
そのビデを巡り、家族の間に生まれる不安、不信、疑念。
新たなビデオテープが届く。
ビデオテープは血を吐く少年が落書きされた紙に包まれていた。
かすかに芽生える恐怖。
そして、次に届いたビデオテープに映し出されていたのはジョルジュの生家の映像だった。
蘇る過去の記憶、無邪気な悪意、罪の意識、日増しに大きくなる恐怖心。
ジョルジュはその恐怖から逃れるために、ある男のアパートを訪ねる。



そんな内容。

ハネケ作品のなかでは、ある意味今まででいちばん難解でした。

物語としてはスリラー的だとも言えるので、劇映画としてサスペンスが高まるつくりにはなっているし、今回はショック描写もあったりするので、視覚的興奮は結構なものです(まあ、別に興奮じゃなくてもいいんだけれど)。そういう意味ではテンションを保ちつつ楽しむことはできるんです。

だから、わけが分からなくなるという類の難解さはないけれど、アルジェリア問題がどれだけ重大でデリケートな問題なのかがわからない僕にとっては(それは僕自身の無知と勉強不足のせいなんですけどね)、どのあたりに衝撃があるのかがイマイチ理解できなかったりするんです。
そこがちょっと残念だったけど、監督自身が言う“疾しさ”についての映画という点では僕にもなんとか理解できました。監督のインタビューを読むまでは“罪悪”についての映画かなと思ってたんですけどね(同じようなもんでしょう?)。

今回も胸騒ぎを残して、考えることを強いながら映画は終わっていきました。



真実の瞬間について。

そもそも映画を純然たる“芸術”として捉えてるハネケだから、『隠された記憶』も犯人探しや衝撃の事実を楽しむスリラーではないことは初めからわかっていたので、犯人についての議論はあまり意味がないとは思います。
けれど、“衝撃のラストカット”なんて言われちゃうと、テーマはさておき何が衝撃だったんだろう?と考えずにはいられない。

どうやらラストカットで僕が目にしたものがその正体だということは間違いないようで、僕の目にはそれは“衝撃”というよりは、“混乱”というふうに感じたんですけど、どうなんでしょう??



それでも犯人探しをしたいのなら。

普通に考えれば彼です。
ラスカットには何が映っているのかというより、あの構図あの視点こそが重要なことなんじゃないかと思います。まだ撮られている、ってことです。



犯人は、『ファニーゲーム』の終盤、“リモコンのシーン”と同じ。



犯人は、ミヒャエル・ハネケ。



『Guilty Partner』 / New Order
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by clyde_8 | 2006-06-20 11:56 | 映画/お芝居
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