愛はすべてを越えて
d0025304_22535991.jpg

『アリゾナ・ドリーム』を観た時にも思ったんですが、イギー・ポップの歌声って良過ぎるから反則だと思います。
『トレインスポッティング』みたいな喧騒的な感じよりも、しっとりシブい感じの映画によく合う歌声ですね(ま、『Lust For Life』も最高だけど)。
シブさではトム・ウェイツといい勝負です。
実際、『コーヒー&シガレッツ』でいい勝負してましたしね。

なんて、前置きが長くなりましたが、ただいま公開中だけど、客入らなくて終了間近な『ジャケット』でもイギー・ポップがシブい歌声で花を添えてるんですよ。それも映画のために書き下ろしたかのような曲で!
(本当は『女王陛下の007』でルイ・アームストロングが歌った曲のカバー)

とにかく素晴しい選曲です。

しかもこの映画、音楽を担当してるのはブライアン・イーノです。もうそれだけで(特に音楽ファンは)、観ようと思う人が何人もいるだろうと思われるブライアン・イーノです。
なんか、ブライアン・イーノってだけで良さそうだなって思う、そんな感じありませんか?ありますよね?あります。
ポール・サイモン(!)の新譜のサウンド設計がブライアン・イーノなんですけど、これもまた良いんです!



って、音楽ばっかり褒めてるから肝心の本編はイマイチなのかというと、とても素晴しい映画でした。
実はあれこれここで書いてもしょうがないなと思ったから、音楽のことを書いてみただけです。
あまり僕がたらたら書いて、映画の芸術性を損なうのがコワいので。

あ、ちなみにガチャガチャとしたフラッシュバックとかそういうのは僕はどうでもいいと思っているので、ここで言う芸術性というのは視覚的なことだと色彩や光、それ以外だと演技やテーマ性そういったもののことです。



いろんなところで言われてるように、『ジャケット』という映画は異色のSFであり(僕はこういうある種精神的な旅を示唆するようなものこそ真のSFだとも思いますが)、サスペンスであり、ラブロマンスであるという様々な要素を持った映画です。
でもね、それはそうなんだけど、もっと簡単に一言で言うと、絶望と再生と愛についての映画ということになると思います。(←って三言で言ってますね)

“死を意識した時に本当の人生が始まる”みたいな感じの台詞があるんですが、なるほどなぁ、と。



しかし、エイドリアン・ブロディは佇まいが最高ですね。
ほとんどヨーロッパの役者の匂いを持ってます(実際はNYの人)。
切ない眼差しとか最高。
キーラ・ナイトレイもガンバって蓮っ葉感を出してて(実際はこういうのがとても良く似合うと思うんだけれど、コスチュームもののイメージが強いですね)、エイドリアン・ブロディとの相性がぴったり。
エイドリアン・ブロディが歩きながらキーラ・ナイトレイの肩を抱くシーンがあるんですが、その絵になることといったらもう。

監督のジョン・メイバリーはデレク・ジャーマンと一緒にやってた人なので、どうあがいてもイギリス的センスや芸術の香りが抜けきれないハンパな映画になる危険もあったと思うんだけど(誤解のないよう言っておくと、僕はイギリス的なものは大好きだし、芸術の香りもいつも嗅いでいたいぐらいです。鼻が曲がるからそんなことはしないけど)、全然素晴しい娯楽作に仕上げ、しかも僕たちを強く考え込ませる力を持った深遠なテーマ性のある映画になっていると思います。



じゅうぶん面白かったんだけど、面白い面白くないで判断しちゃダメな映画のような気がします。うーん、うまく魅力が伝えれませんね。。。



超個人的ツボ。
我が青春の『メンフィス・ベル』や“心のベストテン第一位”の『ロンドン・キルズ・ミー』以来けっこう好きなスティーヴン・マッキントッシュが出てたこと。
うーん、だから観てみよう、とはならないか。。。



あ!これならどうだろう。
ものっすごい空いてるから2分前に行ってもかなり良い席で観れますよー!



『We Have All The Time In The World』 / Iggy Pop
[PR]
by clyde_8 | 2006-06-06 22:54 | 映画/お芝居
<< 心の届かぬラヴ・レター 自分に恋して >>