Kのトランク
GW中に上映終了だっていうから(結局追加上映が今月末にあるらしいけどね)、『71フラグメンツ』に続いてミヒャエル・ハネケ映画祭3本目、『カフカの「城」』を観てきました。



アルベール・カミュ、安部公房、ポール・オースター、いわゆる“ 不条理”な味わいを持つ作家って僕大好きなんですけど(でも“ 不条理”という一言で魅力を伝えるのは好きくない)、フランツ・King of absurdity・カフカの『城』をミヒャエル・ハネケが映画化してるなんて、あまりにも相性が良すぎて悪夢です。



『城』を読んだことがある人ならわかると思いますが、はっきり言って何も起こらない小説です。結構な長編作品にも関わらず何も起こらない。
いや、起こるんですけどね、村の人に邪魔されたり、ヘンな助手が現れたり、女の人と一緒に住んだり(測量師として城から仕事を依頼されてやって来たというのに!)、でもだからといって何がどうなるわけでもなく、主人公のKはそれなりにもがきつつ、だからといって特別破綻を来すわけでもなく、城へと辿り着けないまま『城』は終わる。
測量師としてのKには何も起こらないし、読後の僕たちにも“?”以外何も残さない。

ミヒャエル・ハネケ監督作品『カフカの「城」』は、そんなカフカの『城』をとても忠実に映画化した作品です。
これがテレビ用に撮られたものだっていうんだから驚きです。
テレビでこんなのが放送されてるなんて、結構イヤです。
ラストなんて強烈です。“ここでカフカの草稿は終わっている”とかってスーパーが出て唐突に終わりですから。



あぁ、なんという仕打ちなんでしょう。
なんと“不条理”!


心躍る休日の朝8時前、普段ならスウィートな夢の終わりを見ている時間に頑張って起きて、鈍い身体を熱いシャワーで無理矢理起こして、渋谷の隅っこのラブホテル街の入り口にある映画館で1400円払って125分後、何も起こらないまま何も得られないまま人に溢れる真昼の渋谷に放り出されるなんて!!



そういう映画があることは確かです。

まだそんな映画体験はしたことない、けど興味あるという人、ユーロスペースでミヒャエル・ハネケ作品の再追加上映が決定したようです。
前の晩しっかり寝て、できることなら一緒に行ってくれる人(なるべくなら映画観終わった後すぐに騒がしくなるような人は避けて)探して、頑張って早起きして行ってみて下さい。

そして、唖然として、後悔とも感慨ともつかない複雑な気持ちを抱えてパルコでお買い物。



『Kのトランク』 / ムーンライダーズ
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by clyde_8 | 2006-05-10 14:55 | 映画/お芝居
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