REACH OUT OF THE DARKNESS
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アカデミー賞って、監督デビューとか脚本第一作目の作家さんが受賞することがたまにありますよね(というかよくある)。だからどうということもないんですが、本屋に行っても“デビュー作”って帯に書かれてたりなんかすると、ついつい手に取ってしまう“デビュー作ファン”の僕にとっては第一作目でアカデミー賞受賞!となると、やったね!と妙に嬉しくなったりします。

前回のアカデミー賞で、作品賞を穫った『ミリオンダラー・ベイビー』の脚本を担当していたポール・ハギスが『クラッシュ』で監督デビュー。そして見事アカデミー作品賞穫りました!
やった!
ノミネート作品の中にはかなーり間接的ですが、僕と関わりのある作品があったけれど、そっちが受賞するより断然嬉しいです。

あ、アカデミー賞をバカにしちゃいけませんよ!
特にミニシアター系とかそういう言葉を娯楽作と差別化する目的で平気で使って、おシャレ映画ファンを気取ってる人(クラッシュということで、人との衝突の原因となるようなことを言ってみたりして)。
アカデミー賞では作品の質はもちろん、関わるスタッフやスタジオの人脈、プロモーション力、資金力によって賞の行方が左右されるとも言われてますが、それこそが一本の作品にどれだけ多くの人が惚れ込んだかの証明だとも思うのです(たとえ金儲けのためだとしても)。
歴代の受賞作品も面白くて人を惹き付ける魅力溢れる作品ばかりです。



さて、多くの役者がどんな役でもいいから参加したいと熱望した『クラッシュ』は群像劇です。
これは個人的にはアカデミー受賞と同じくらい大きなポイントで、僕はとにかく群像劇が大好物。
なんで好きなんでしょうね。よくはわからないんですが、いろんな人が出てきて、結局自分はそのどれにも当てはまる部分があるような気がして、人間とか人生は複雑でしんどいことも多いけど、そんなに悪いものでもないなぁと思わせてくれるところでしょうか。(←たいへんまわりくどい)
特に大きなテーマを持ってなくて、淡々と日々の営みを描いているだけの映画でも、そういうポジティブな気分にさせてくれるから不思議です。
レイモンド・カーヴァーの短編集を読んだ時の気分と似てます。
そういえば、群像劇のマイスター、ロバート・アルトマンの『ショート・カッツ』はレイモンド・カーヴァーが原作ですね。『ショート・カッツ』もたくさんの人が出てきて(ビデオだと2巻に分かれてるし!)、様々なエピソードが描かれ、唐突に大きな力がすべてを飲み込んで。。。



あ、『クラッシュ』の話でしたね。
この映画のテーマは“他人と関わること”について。
監督ポール・ハギスの言葉では、“見知らぬ人間への恐怖”について。
この映画では人種差別や階級意識が描かれているけれど、テーマはそこにあるのではなく、様々な問題を抱え込んで、相反する複数の人格を自分の中に感じて、他人とぶつかり合い、それでも理解してほしいと願い、どんな形にせよ、ひとりじゃないという実感が欲しい人たちについての映画で、それはつまり僕たちについての映画でもあるんじゃないかな。

ま、これを読んでわかるように、とても感傷的になる映画です、いい意味で。
とてもパワフルで、緊張を強い、肩のこる映画です、いい意味で(そもそも、いい意味で肩がこるという状態はない気もしますが、まあ、それはそれとして)。

とても綺麗なグレーをした映画なので、観終わった時にはっきりとした答えを得ることはあまりないと思うけど、奇妙な清々しさを感じ、会話を促してくれる印象的な作品です。



なんだか勝手な想像で(だってあまりに小規模な作品だからぁ)、すぐ公開終わっちゃうかななんて思ってたけど、アカデミー穫ったことで公開館数も増え、ロングランもしそうです!
嬉しー。

なんか映画配給会社の人みたいになってますね、僕。
でもね、『クラッシュ』は映画配給会社勤務の友人と一緒に観に行ったんですが、観終わった後に「こんな映画を担当したいなぁ」なんて言ってるの聞いて、同じ気持ちになったのは確かです。
念のため言っておくと、“こんな映画のポスターを担当したいなぁ”ってことですから、あしからず。



『REACH OUT OF THE DARKNESS』 / FRIEND & LOVER
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by clyde_8 | 2006-03-09 18:43 | 映画/お芝居
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