雨に唄えば

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待望の世界初舞台化!!
ということで舞台『レインマン』です。

マネーゲームに生き甲斐を感じるチャーリーとその兄でサヴァン症候群(精神障害や知的障害を持ちながら、ある特定の分野に限って、驚異的な能力を発揮する病状)のレイモンド、2人の交流を通して“絆”を描いたお芝居。
オリジナル脚本の映画の舞台化というのは珍しい試み(だそうです)。

ストーリーの大筋は映画と同じだったけど、舞台化するために変更されたり加えられたりした部分もけっこうありました。そこが不安でもあり楽しみでもあるところだったので、いつもとはちょっと違う見方になっちゃったかもしれません。。。



舞台版で加えられたエピソードに、チャーリー役の椎名桔平さんとレイモンド役の橋爪功さんがサッカーボールでリフティングをするシーンがあるのですが、そこが一番好きでした。
と同時に混乱もほんのちょっと。

二人が心を通わせていくきっかけとなる重要なシーン(だと思う)。
二人で協力して10回ボールをつく。嬉しくなったレイモンドが20回に挑戦したい!と言い、何回か失敗した後、見事20回成功させて、抱き合って喜ぶ二人。
身体に触れられるだけでパニックになっていたレイモンドがチャーリーとしっかり抱き合う姿は美しい。

ボールを蹴ったことのある人ならわかると思いますが、2人でリフティング20回というのはけっこう難しい。
三重県代表として国体に出場経験のある椎名桔平さんでも、劇場の舞台でスーツに革靴、相手は橋爪功さん(橋爪さんがサッカーやってたかどうかは知りませんけど、やってなかったとして)とくればなかなかうまくいかない。
けっこう何度も何度も失敗して、終いには桔平さんも凡ミスしたり、ボールが客席近くまで転がったり。。。
さすがに素に戻ったのか、桔平さんが橋爪さんに向かって、「どーする?」という顔を見せたり、実際そんなような台詞を口にしたり。本人はチャーリーとして発言してたようですが、焦って柔らかい表情になる桔平さん(チャーリーはどちらかというとクールで無駄な笑顔は見せないタイプ)はとてもチャーミングでした。



さて、公演のプログラムにこんな一文があります。

演劇は、感情の森に分け入る「内的」な表現

これは舞台『レインマン』が映画から演劇へ、という芸術の新たな可能性の第一歩かもしれないというような意味のエッセイの中の一節なんですが、僕もそう思います。
なぜ演劇が感情の森に分け入る「内的」な表現なのか、はっきりと説明できないけれど(スミマセン、語るコトバを持ってなくて)、お芝居を観る時に感じる独特の緊張感や疲労感なんかは、その証なのかもなぁ、と思ってます。

僕がチャーリーとレイモンドがサッカーボールでリフティングをするシーンで少し混乱したのは感情の森について。
(あ、あらかじめ言っておくと、“感情の森に分け入る”ということについては個人的な解釈なので、そのへん違うなと思っても細かく突っ込むのはナシにしてみましょうね、みなさん♥)

僕は開演してからずーっとチャーリーの事を考えていたわけです。
『レインマン』は“家族”をテーマに描かれるシリアスなドラマだし、個人的にはチャーリーが“家族”というものに対して抱くドライな感情は他人事じゃないと感じるところがあるので、頭も心も入り込むわけです。椎名桔平さんが掘り下げ、感情の森に分け入って体現したチャーリーに僕は同調し、その内面に入っていってたんです。
父親に対する憎しみと突然現れた兄に対する戸惑い、少しずつ芽生える愛情。
あぁ、苦しい。



なのに、、、そんな急に役者・椎名桔平の顔を見せられても。。。
舞台の上で役者の素顔を垣間見るのもお芝居の魅力のひとつとは思うんですが、『レインマン』でそれ見せられて思わず混乱しちゃいました。。。

シリアスなものにはそういうハプニングがそぐわない、という単純な話ではなく、その時その時の雰囲気で左右されることだとは思うけど。

例えば、三谷幸喜さんの『君となら』で同じようにボールを使ったシーンで(こっちはバスケットボール)、佐藤慶さんがフリースローを失敗させなくちゃいけないという場面だったのに、成功してしまったことがありました。
その時は残念がる役どころだった伊藤俊人さんが大喜びをし、角野卓造さんが役どころそのままの調子でファールを宣告し、佐藤慶さんが投げ直し、見事(?)失敗して物語が続きました。
僕はそれを映像で観ただけですが(そう!よりによって収録のカメラが入ってた日にハプニングが起きたわけです)、映像だと役者さんの息づかいのようなものはなかなか体感できないので普通に演技に見えました。というか、そういうことを意識せずにただ笑って、お話を楽しんでました(後で三谷幸喜さんのインタビューであれは予定外だったと知りました)。でも、役者さんのアドリブの息ぴったりだったので、実際に生で観ててもハプニングに気付かずにお話を存分に楽しんだと思います。
だからというわけではないけど、コメディ『君となら』にも(そもそも計算されて仕掛けられたハプニング満載のお話なんだから)、ハプニングはあわないような気がする(そうだ! カムカムミニキーナ にはハプニングがぴったりな気がします!)。



話が逸れたけど、チャーリーに同調し、自分の中にはどういう優しさや冷たさがあるのだろーか?なんて考えてた僕は役者・椎名桔平の顔を見て和むと同時に我に返り、あぁ、綺麗な劇場だなとか、朴ろみさんはすごい声量だなとか。。。ま、要は集中が途切れたわけです。

でも、だから残念、ダメだった、とかそういうことじゃないんだけどね、なんか心が剥き出しだったせいでうまく楽しめなかったというか。。。

いや、あれはあれで楽しかったか。
いかにも芝居好きな3人組の女性が帰り支度しながら、「橋爪さん!これ成功するまで先進まないよ!って思ったよね〜」とか話してて、うんうん僕もそう思ったよ、なんてふうに考えて可笑しかったし。

……うーん、ね?混乱してるでしょ。



そんな複雑な心境。。。



けど、舞台女優さんってなんであんなにセクシーなんだろう。
素晴しすぎる!
(だから無意味に下着丸見えシーンはどうかと思うけどね。再演ではああいう演出は止めてちょーだい)



ところで、舞台『レインマン』を観に行く人で映画『レインマン』を観たことない人っているんでしょうか?そんな完全に新鮮な気持ちで舞台『レインマン』を観る人の感想もぜひ聞いてみたい。



『Singin' in the rain』 / Jamie Cullum
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by clyde_8 | 2006-02-13 20:48 | 映画/お芝居
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