For Boston
d0025304_16142284.jpg
d0025304_16143290.jpg

公開終了してから、もうずいぶん間があいてしまいましたが、映画『ザ・タウン』です。
ベン・アフレックは初監督作の『ゴーン・ベイビー・ゴーン』がものすごく良かったし、そもそも『グッド・ウィル・ハンティング』が書けるぐらいだし(今回の『ザ・タウン』の出来からすると、『グッド〜』もやっぱりベン・アフレック主導で書かれたのかもねと思ってしまう)、演者よりも裏方のほうが向いてるんだろうなぐらいに感じていたから、監督二作目の『ザ・タウン』では脚本に加え、主演もするということで、裏方に徹しろよ!となんとなく一抹の不安があったけれど、そんなものは余計なお世話でした。
ひじょーに良かった。
そもそも、ボストンを舞台にしている時点で、ベン・アフレックだからこそ描ける何かが、かなりたくさんあるんだろうなと思った。

ボストンを舞台にした犯罪映画はここ10年豊作というイメージがあって、代表格は『ディパーテッド』だろうけど、その空気感(たぶんボストンの持つ閉塞感)では『ミスティック・リバー』が別格で、ストーリーもリメイクものでは出せない重厚感と妙な説得力を持って迫ってくる。そしてその『ミスティック・リバー』の原作者デニス・レヘインの作品をベン・アフレックが脚色・監督し、弟のケイシーを主演に据えたのが『ゴーン・ベイビー・ゴーン』で、この作品、ラジー賞受賞歴のある女たらし役者の初監督作品とは思えない傑作に仕上がっていて、僕かなり好きでした(日本ではDVDスルーというのが何とも期待のなさの現れというかなんというか)。

そして、今回の『ザ・タウン』。ボストン在住のミステリ作家のハメット賞受賞作『強盗こそ、われらが宿命』を脚色した作品で、弟よりもいくらかは華のあるお兄ちゃんが主演したからか、『ゴシップガール』のあいつが出てるからか、ジェレミー・レナーがアカデミーノミネートされたからか、とにかく無事劇場公開されたので、わくわくしながら観に行ってきました。
ベン・アフレック監督、二作目もやっぱり良かった。この監督、これからが楽しみです。

新人監督ベンのフィルモグラフィー2作品の面白さ、これって実はベン・アフレックが犯罪ものに強いのではなく(くどいようですが『グッド〜』を書いてるわけだし)、自らの出自や育った町を愛情と憎しみと皮肉と哀しみの視点で描くことに長けた映画作家だから、胸に迫るしそれこそが魅力なんだと思う。大仰に言うと、ベン・アフレックは、ウディ・アレンやエドワード・バーンズのようなタイプの映画作家なんじゃないだろうか、きっとそうだ、なんて。細々したエピソードや設定を取っ払って骨組みだけ見ると、つまるところ構造は同じだという点においても先達と同じ作風を踏襲しているように思えるし。そういう意味では『グッド・ウィル・ハンティング』と『ザ・タウン』はほとんど同じ展開を見せるしね(←超大雑把解釈)。違いといえば引き止め役だったベン・アフレックが今回は町を出て行く人を演じている点。そこに至って、やっぱり彼も、マット・デイモンのように苦悩しつつも鮮やかに町を出て新たな人生を始める人を演じたかったんだね、というのがよくわかる。(←完全に決めつけてるけど、実際のところは知らん)
まあ、とにかく監督ベン・アフレックは要注目です。



ところで、強盗映画ですよー的な予告編のせいなのか、『ザ・タウン』をアクション映画と思ってる人や、実際に観たのにアクション映画としてしか観ることができない人がまれにいるみたいですが、そこまで鈍感な人は、まあそれはそれでいいんじゃないと無視しておいて、町に縛られながらもそこに守られ、そこを憎み、なんとかして逃げ出したいんだけれど、居心地の良さや仲間も捨てられない、そんな複雑な想いと、かなり都合良く展開する良くも悪くもアメリカ映画的な物語を楽しみましょう(何者かになるために故郷を捨ててきた人なら必ず心震えるはず)。
とはいえ、強盗シーンや銃撃シーンも素晴らしいので、結局はクライム・アクション映画なんだけどもね。



『For Boston』 / Dropkick Murphys
[PR]
by clyde_8 | 2011-06-09 16:14 | 映画/お芝居
<< Glory & Consequ... さようならパステルズ・バッヂ >>