ヴァガボンド
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『Whip It』(邦題はあまり好きくないから原題で失礼します)が今年のベストガールズムービーなら、ボーイズムービーベストワンは『(500)日のサマー』。
『Whip It』と同じく、こちらもファッションや音楽のセンスがめちゃくちゃ素晴らしくて。ツボに入りまくり。

お話もツボ入りっぱなし。
何よりもまず、サマー。たぶん女性から見ると、このコそんなにいいかぁ?ぐらいの感じなんだろうけど、オトコのコ(特に音楽好きの)からすると夢の女性。初めての会話で、「スミス?いいよね、スミス。ワタシも好き」なんて言われたら、キミを好きになるのは当たり前。それでまたサマーのカラオケ姿が可愛くて、『シュガータウンは恋の町』で軽く本家越えのキュートさ(本家はヤクザの娘ナンシー)。

主人公トムは一気に恋に落ちて、ちょっとした言葉や仕種に揺さぶられまくって、想いをどう伝えようかとか、いやでも待てよ、あのコはどっかでいい感じのオトコがいるんじゃないだろうか、そうに決まってるよとか、キモチがうろうろゆらゆらして切な楽しい感じ。
そして想いが実り、幸せ絶頂の浮かれて踊りだしてしまいそうな気持ち。実際に踊りだしたりして。視界の隅々までキラキラして、いろんなことが調子良く進むあの感じ。それこそ本当に魔法みたいなあの時間。

そんな魔法のような時間が過ぎ去って、一転して恋が壊れていく地獄の季節。頭の中にはサイモン&ガーファンクルしか流れない、悲しく永遠に続きそうな寒い季節。消えていく恋にじたばたするトムのあの感じ。お別れの時は、やっぱり女性より男性のほうが、ぶざまに、我が儘に、あがいちゃう気がしますね。『ハイ・フィデリティ』のロブしかり『アニー・ホール』のアルビーしかり。とここで気づくのが、映画的技法や構成において『アニー・ホール』の強い影響下にある『ハイ・フィデリティ』、そのもろ直系にあたるのが『(500)日のサマー』。『(500)日のサマー』のシーン構成は『アニー・ホール』へのオマージュに溢れかえっています。この三本ともがオトコのコの映画ってのが、いかにオトコのコの恋愛がフラフラでふわふわでヘロヘロかを証明しているようで、情けなくも誇らしい。

そして傷みを乗り越えて、オータムの季節。あれで心がすっきり晴れ渡っちゃうさまも、なんかオトコのコっぽいというかなんというか。基本的に惚れっぽいからね、男って。(←お前は特にな。とつっこむ友人たち)
この映画、ほとんどの男性が自分を見せられてるようで、うわぁ、わかるなと共感しつつ、あぁ、そうだなと恥ずかしくなりつつ、結局サマーに恋しちゃうんじゃないでしょうか。音楽ファンの男性ならなおのこと。

あと、個人的なツボはカラオケのシーン。
あそこすごくない!?ピクシーズ唄うんだよ!後半、恋に破れ酔っぱらった暁にはクラッシュの『トレイン・イン・ベイン』だよ!!!
アメリカではあれって普通なんだろうか?日本でいうところのBOØWYを唄う、ぐらいの感じなのかな。絶対違うと思うけど。自分の印象としては、SIONとか、もしくはザ・ルースターズかなんかをおもむろにまんきんで唄いだす、ぐらいの格好良さに映ったんですが。どうなんでしょうか?誰かアメリカカラオケ事情通の方、教えてちょうだい。
また素晴らしい歌い方なんだ、トムってば。トム役のジョゼフ・ゴードン=レヴィットはイベントでライブ活動なんかもしてるらしく、ロックの何たるかをわかってるボーカルっぷりで格好良い。



細かいツボポイント、アメリカドラマファンにとっては、『クリミナル・マインド』のDr.スペンサー・リードの人が親友役で登場ってのが興奮ポイントでしょう。僕かなり興奮。



さて、この作品、監督のマーク・ウェブはボーイがガールとミートする、ただそれだけの話を、ウッディ・アレン仕込み(かどうかは想像だけど)で時世を行き来する巧みな構成に、想像力と創造性溢れる映像と選曲センス抜群の音楽で味付けして、素晴らしいデビューを飾ってます。スパイダーマンの新シリーズの監督に抜擢されたことからも、アメリカ映画業界では、この才能の誕生はかなり熱狂的に迎えられているようです。
スパイダーマンの学生期(すなわち思春期)が描かれるらしい新シリーズ、レコードショップを巡り、恋に振り回される蜘蛛のオトコのコが楽しみです(もちろんうそです、ちゃんと悪と闘う学生さんの話だと思います)。



ところで、非常に余談。
『Whip It』のドリュー、『(500)日のサマー』のマーク、共に僕の同世代。70年代中頃生まれのふたりのデビュー作は音楽が作品の重要な要素のひとつ。どちらも基本的にはロック。でもオトコのコ、マークはへなへなしたロック。オンナのコ、ドリューはびんびんのロック。これってなんか興味深い。誰かこれ研究してみなよ。(←丸投げ)



『Vagabond』 / Wolfmother
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by clyde_8 | 2010-11-05 15:27 | 映画/お芝居
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